沢田慎に恋をした。

沢田慎

______わたしは彼に恋をした。見た目は不良少年。でも中身はとっても仲間想いで頼りになって相手のことをよく見ている。そんな素敵な人。わたしは気付いたら彼から目が離せなくなっていた。まさかわたしが彼に恋をするなんて、思ってもいなかった。そう。ごくせん1の再放送が始まるまでは。

 

 

沢田慎はごくせん1の不良少年である。原作とドラマでは髪色などが違うらしいけど、わたしが恋をしたのは松潤が演じる沢田慎である。そもそもわたしはごくせん1を見たことがなかった。ごくせんといえば2ndシーズンから見ており、3rdシーズンは死ぬほど見た。でも1stシーズンは見たことがなかったのだ。こんなにも神ドラマだということも知らずに20数年生きてきたわたしはもったいないと思う。

コロナの影響もありドラマの撮影ができないからという理由でドラマの再放送をゴールデンタイムに見れる世の中だから、「ごくせん1の再放送があるヨ!」との知らせを受けて軽〜〜い気持ちで見たのが始まり。まさか慎に恋をするとはその時のわたしは思いもしなかった。

 

とにかく慎は仲間想い。クマが教頭の集金袋を取ったことを黙ったり、ヤンクミに本当のことを言いそうになるクマに、「先公なんてしんじられっかよ!」とヤンクミに言ってクマに言わせないようにする。慎は「信じてもすぐ裏切る」「信じられるわけがない」とヤンクミによく言うけれどそれは『信じたい』現れなのではないだろうか。信じたら裏切られるのが怖いから。それなら初めから信じない。そう自分に言い聞かせているように思った。

2話で南が荒高のヤバイ奴の彼女と知らずに付き合った時も「アイツ(彼女)とは別れろ」と告げる。なにも知らない南はもちろん怒る。でも慎はその事実を知っているからこそ言うのだ。慎って言葉足らずで不器用。南に真実を言えばいいのに言わなかった。それは南が二股かけられてると知ったら可哀想だし、南の気持ちを考えたらそんなダセェことを慎に言われたら凹むに決まってる。そう、彼は言葉足らずで不器用で、相手の気持ちをとてもよく理解できる。そんな素敵な人なのだ(2回目)。

9話では、退学させられた黒川という人物が出てくる。彼は慎とうっちー(内山)と一番仲が良かった。その彼が白金高校を潰そうと企んでいることを知って、慎とうっちーは黒川に話をしに行く。学校を退学した今でも慎は黒川のことを気にかけて、自分にできることはないのか考えるとても素敵な人なのだ(3回目)。

クマのお父さんが亡くなった時も「自分が大変なときにクマは支えてくれた。だから俺も何かできることはないか」とヤンクミに相談する。自分が一番大変なときに側にいてくれる人をこれほど思い、「次は俺が助ける番」だと前を見る慎に好き以外の感情が出てこなかった。自分にできることがないか考えた結果、クマの家のラーメン屋を手伝うという発想が出るところは単純で、またとても的確な判断だったと思う。クマがいない→自分にできることはないか?→そうだ!クマの家のラーメン屋を手伝おう!という発想になった慎を想像したらとても可愛く、愛おしい。そしてクマに「もっと頼れよ」と言うのだ。ハァ男前。

 

そしてなんといっても妹想いなところもしんどい。7話は慎と妹の回なのだけど、とにかく慎の妹に対する想いがしんしんと伝わって苦しい。「自分のせいで妹が我慢しているから妹に何かあったら……」と自分を追い詰めたり、「妹のことになったら飛んでいく」と仲間に言われたりするほど、慎は妹をとても大切に想っているのだ。妹よ、何も言わない。そこを代わってくれ。わたしに妹のポジションをくれ。妹に「ばーーか」って言う慎めっっっっっちゃかっこよくない?!?!?!?!佐藤健とはまた違う「ばーーか」だよね?!(そりゃそうだ)

慎はとても面倒見が良い。長男ということもあるのだけど、とにかく面倒見が良い。菊乃先生の息子裕太をヤンクミが面倒を見たときも慎を家に呼び出す。わがままな裕太に対して怒りそうになる大江戸一家に対して慎はそれをなだめる。ヤンクミが怒ったときはみんながヤンクミに対して注意できないので慎が「ヤンクミ!」と言う。それは慎にしか言えないことだから特別感にきゅんとするし、妹の面倒を小さいころから見ていたからこそすぐに怒ってはいけないという慎の経験もあるのだろう。慎と裕太は確実に仲を深めていて、裕太は慎のことを「シン!」と呼ぶ。見た目はかなりイカツイのにそれを子供に感じさせない、忘れさせるくらいの慎の優しさ。みんなでだるまさんが転んだをする時も慎は裕太の隣にいて誰が動いたか教えてあげている。とにかく慎は面倒見が良い。

 

慎は3Dの頭だからもうちょっと曲者でヤンクミに心を開くのは時間がかかるのではないかと思っていたけれどそんなことが全然なくて意外だったし、慎マジでいいヤツ(結局)。ヤンクミに笑顔を見せることが中々なかったんだけど(最初は)、慎はヤンクミが見てないときに笑ってることが多い。しかもヤンクミが慎を見ていないときにヤンクミを見ながら笑う。恋。だからヤンクミは『慎はよくわからないやつ』と思っているし、ヤンクミに初めて笑顔を見せるのが7話である。7話までヤンクミは「慎はいいヤツだけどよく分からないヤツ」と思っている。ヤンクミと慎はとても良い関係だ。原作ではヤンクミと慎は結ばれるらしい。分かる。後述するが慎はヤンクミに対して恋心を抱いているように感じられる部分が多々ある。慎はよく考えて行動する人なので、仲間がワーワーいっていても自分が正しいと思ったこと以外は乗らない。例えば5話で喧嘩と暴力の違いの話がある。その時、慎はその場にはいないが後から仲間に聞いて「悪りぃけど今回はヤンクミに一票」と正しいことは正しいと言える人なのだ。

6話で、昔 クマと南がいじめていた生徒のことでモヤモヤしている時も、異変に気付いて「ヤンクミじゃねぇけどさ、落とし前きっちりつけといたほうがいいんじゃねぇの?」とアドバイスをする。二人の異変に唯一気付くのは慎で、その慎のアドバイスがあったから二人はヤンクミに相談する。慎はよく周りを見ているのだ。

ヤンクミの昔の話をテツから聞いて、涙が出そうになる慎はとても人間で、ちゃんと心がある。テツが心を割って話すということは、慎の性格や人となりが良いからテツが話せる。

一番初めにヤンクミの家の事情を知ったのが慎であるということも忘れてはいけない。ヤンクミのケータイを拾ったことから慎が知るのだけれど、ケータイを拾ったのが慎で良かったと心の底から思う。ムードメーカーなうっちーでもダメなんだよ。女性の扱い慣れてるちゃらい南でもダメなんだよ。パソコンに強い野田でもダメなんだよ。一番初めにヤンクミのことを信じてみようと思ったクマでもダメなんだよ。慎じゃなきゃダメなんだよ。クマを助けた後に、みんなで学校に戻る道中、慎はヤンクミに「(大江戸一家のこと)バレたらまずいんだ」と言う。それに驚くヤンクミに「お前のケータイ届けたの、俺なんだけど。言わねぇよ。そんなんでお前がクビになったら学校つまんなくなんじゃん」とサラッと、でも照れたように言う。ここで慎とヤンクミがお互いのことを初めて分かり合えたような気がする。秘密を共有する男女は強い。

慎は7話まではヤンクミに対して自分の笑顔を見せていない。前述した通りヤンクミが見ていないところで笑う。一番初めにヤンクミに対して笑顔を見せたのは3話の連続窃盗犯を見つけて表彰された時。その時の慎は「学校が楽しくなってきた」の笑顔だったとは思うが、その笑顔を見て恋に落ちた視聴者はたくさんいたのではないだろうか。そして7話でヤンクミに笑っている姿を見せる。みんなに胴上げさせられているときに慎が無邪気に笑う。ヤンクミ「お前、笑ってるじゃねぇか!」慎「うるせぇ(笑)」のやり取りがエモい。

 

話が逸れたが、慎がヤンクミに対して恋心を抱いているように感じるところは多々ある。実際、最終回で慎がヤンクミのことが好きだとハッキリ分かるが好きになる過程を記させてほしい。慎は回を重ねるごとにヤンクミに笑顔を見せる。それは慎がヤンクミに対して心を開いているからだと思うのと同時に、知らないうちに慎はヤンクミに恋をしているのだ。それがよく分かるのは、10話。ヤンクミがお見合いをさせられる回である。 「ヤンクミがお見合い成功するかも!」とクラスの仲間がみんなに知らせに来た時に、他のメンバーは喜ぶ中、2人だけ喜んでいない人物がいる。まずクマ。クマは“ヤンクミが結婚したらすぐに教師を辞めてしまうかもしれない。卒業まで俺たちのことを見届けてくれないかもしれない“という理由でそれを喜ばない。もう一人は慎。表情で辛さを表現している。なんともいえない辛そうな顔をしているのだ。それを見たわたしは「もう恋してんじゃん!!!」と思った。ヤンクミが篠原さんにお食事に誘われている時もみんなはからかっているのに対して慎はなんとも言えない表情をしている。辛い。

慎は誰よりもヤンクミのことを理解している。それは慎の元々の性格もあるし、ヤンクミに少なからず好意がないとそこまで理解することはできないと思う。それが強く分かったのは英翔学園高校に乗り込む10話。ヤンクミが英翔学園高校に乗り込んだ時には慎たちが既にいたのだ。先回りするよう仲間に指示を出したのは慎。その理由が「自分らがしたことは自分らで落とし前をつけなきゃいけない」だったのだけど、ヤンクミが考えそうなことを分かっていたから先回りをしたのだ。ヤバイ。

そしてとにかくヤバイのが12話。ヤンクミの家のことが週刊誌に載せられて色々あり3Dが退学処分になるかもしれない、そんなときに慎はヤンクミの家に向かう。突然家に来る慎にどうしたのかと聞くと「落ち込んでんじゃないかと思ってさ。ヤンクミ、すぐ自分のせいにして勝手に落ち込むから。明日決まるんだろ?俺たちの処分。悪かったな、あんな騒ぎ起こして。けどお前のせいじゃないから。」と言うのだ。わざわざヤンクミの家に来てそのことを伝えにくるのだ。メールや電話だと“自分は大丈夫“だと嘘をついてしまうから直接会いに来たのだろう。そこまで考えられる慎はヤンクミのことを良く理解している。こんなことをサラッと言えるのは好きじゃないと無理。ヤンクミが「何謝ってんだよ。お前たちなんにもしてないよ。あたしのせいだよ。全部、あたしのせい」と言うと、「ほらな?全部自分のせいにすんだろ?」とサラッと言える。慎には全てお見通し。(かっこつけるために斜体にした)いや、彼氏か??ヤンクミの彼氏か???と錯覚する。これ、彼氏が彼女に対して言う言葉だから!慎、覚えとけ!お前はもうヤンクミが好きだ!ヤンクミの部屋を出る時に不安になったのか「辞めたりしねぇよな?」と聞く。ヤンクミは「辞めねぇよ!」と笑いながら答えるが慎はヤンクミが辞める決断をしているということを知っていたかのような反応をする。慎には全てお見通し。何かを察している表情で、直接会ってそのことを確かめたかったのだろう。行動力が恋。すぐに会いに行こうとするところが恋。「会いたい」ってメールしたらなんだかんだ言ってすぐに家を飛び出して会いにきてくれるタイプ。はぁ。好き。ヤンクミが辞表を提出して帰路に着く時に3Dが追いかけてヤンクミに対して辞めるなって伝える時に、慎が「教えてくれよ、なんで辞めんのか。辞めなきゃいけねえようなことしたのか?してねぇだろ!なのに辞めんのか?そんなのヤンクミらしくねぇんだよ!」と叫ぶ。ヤンクミがお前らのせいじゃないと何度も伝えるから慎がこの言葉を投げかけるのだが、的確すぎる。"ヤンクミはお前たちのせいじゃないと言う→絶対に俺たちのせいなのに→じゃあ辞めなきゃいけないことしたのか?と聞く"という慎の言葉選びと思考回路がすごい。ヤンクミに対してやめるな!って誰でも言えるけど、真実を聞くためにはどうしたらいいのかと瞬時に理解して、ヤンクミの性格をしりつつその言葉が出るって相当頭がキレてるよなあと。さすが賢い!そしてヤンクミのことをよく理解している。

教育シンポジウムに3Dが乗り込んで教師を説得させようとする時も、慎はすごい。「山口久美子が仁侠一家の孫だろうと、世間から暴力教師のレッテル貼られてようと、そんなの俺たちに全然関係ねぇんだよ!あいつは俺たちにいろんなこと教えてくれたんだよ。大人なんか、先公なんか信じらんねぇってずっとそう思ってた。けどヤンクミはそうじゃねぇって思わせてくれたんだよ。こいつなら信じられるかもしれない、こいつなら心の中見せてもいいんじゃないかって。」と教師に向かって言うのだ。的確すぎる(2度目)。慎はとても心が動く言葉を使う。ヤンクミが辞めなくても良いと言うことが分かったときに「ヤンクミ辞めなくていいのか?」とぼーーっとしながら言ううっちーに「突然だろ!」と嬉しそうに笑いながら言う慎がとても好きだと心の中で叫んだ。「当然だろ!」の言葉選びが素敵。「当たり前じゃん!」でもなく(意味は同じだが)「そりゃそーだろ!」でもなく「当然だろ!」なところが良い(伝われ)。

 

わたしがめちゃくちゃ発狂したのは刑事さん2人とテツが「俺ら3人(ヤンクミを想う)ライバルってこと!?」となったときに「悪いけど4人だ」と慎が言うところ。"お前やっと認めたな!?!?"という感情と"慎にそんな風に想われたい"となる感情がごちゃごちゃしてしんどくなった。そうか。慎もヤンクミの彼氏に立候補するのか。そうか。恋愛感情をあまり持たない慎がヤンクミに恋をするってかなりヤバイ。ヤンクミすごい。

 

わたしは慎が好きだ。でもヤンクミも同じくらい好きだ。わたしは慎の心の変化にはいち早く気付いていたと思う。慎がいつヤンクミのことが気になっていたのかなんて分かる。____だって、慎のことを見ていたから。慎がヤンクミのことを見つめているときにわたしは慎を見つめていた。慎がヤンクミのことを想っているときにわたしは慎を想っていた。慎にはバレないように隠してきたつもりだ。でも慎は最後までわたしの気持ちに気付かなかった。というか慎の眼中にわたしは居なかったのだ。こんな悲しいことがあってもいいのだろうか。慎が自分の恋心を自覚した時、わたしはなんとも言えない気持ちになった。"あの"慎が。恋愛なんて興味がない慎が。ヤンクミのことを好きになったのだ。わたしはヤンクミに勝てるはずがない。わたしは慎を諦めるしかない。慎のことを想うのは今日で終わり。ありがとう、慎。慎に出会えたからわたしは久しぶりに恋ができたよ。とても楽しかった。わたしはこの恋心をそっと胸の中にしまっておくね。慎、幸せになって。

 

 

 

……わたし重すぎでは?